本書は、86年に渋谷陽一が著名なミュージシャンとの対談で、それまでのロックの歴史を振り返るという企画本。出てくるミュージシャンは今から読んでも豪華で、順に浜田省吾、山下達郎、忌野清四郎、大貫妙子、仲井戸麗市、遠藤ミチロウと続く。中盤には「Compact Rock History With ALBUMUS」と題して、ロック初心者のための簡易なディスコグラフィも用意されている。
浜省の素朴なビートルズ信仰(といっても『サージェント・ペパーズ』以前までというが)や、シュガーベイブ時代にやりたいことがあるがバンドのメンバーに理解されなかったという苦悩を語る山下達郎など、なんといってもその発言が若い。しかしそれでも、偉大なるビートルズが去って約16年、彼ら自身も脂の乗り切った30代中盤という当時、個々人の発言の行間からは、すでにロックというにぎやかな祭りが終わってしまったのだという諦念と、それでも新しいものを作らなければという使命感が漂っている。
ただその使命感も、プレイヤーと批評家の間では若干差異があり、プレイヤーの発言は自分のことでいっぱいいっぱいという印象がある一方、全体を俯瞰しようという意識が高いのはやはり、渋谷陽一。そしてそんな彼が『ロッキング・オン』を齢二十歳で創刊したというのは、ペランペランの25歳の評者からすれば、驚愕の事実だ。