スタローン本人に失敗作と言わしめた1本。シリーズの鬼っ子だ。
ところが、本編は実は素晴らしい。
ドランク症状、視覚障害、そして年齢。ボクサーとして引退せねばならなくなったロッキー。だが、栄光を失いスラム街に暮らす身になっても、彼はロッキーらしくひたすら愚直に生きていくことができる。エイドリアンと息子(一応ポーリーも)、そしてミッキーの教えが彼を支えているからだ。
シリーズのファンとしては、リングでトミーをぶちのめすロッキーを当然のように望んだ。
だから上映当時は肩すかしのようにも感じられたし、そうした映画評も少なからずあった。
つまり、この映画はファンのニーズに応えなかったのだ。
これはシリーズ物としては致命的な欠点とも言える。
事実、本作は興業的にふるわなかった。
しかし、それでもなお「ロッキーV」は傑作だ。
ロッキーの人物像をこれほどくっきり描ききったのは、1作目を除けばこれ以外にない。
もう一度、17年の時間を越えてこの映画を観ていただきたい。
ロッキーの愚直さ、純粋さは今こそ人の胸をふるわせるだけの威力をもつ。
ファンならば誰もが望むであろう真のエンディング「ザ・ファイナル」と併せて、本作が描きたかったであろう結末を堪能していただければと思う。