ワイン漫画「神の雫」や「ソムリエール」に興味を覚えるのは、あるワインの生い立ちから、誕生の背景までをストーリーとして語っているだろう。その意味で、本書もボルドー5大シャトーのうちロスチャイルド家が所有するラフィットとムートンのストーリーだ。
本書はロスチャイルド家の勃興から始まるが、不思議と退屈感がない、それは著者ヨアヒム・クルツの飽きさせない構成、翻訳者の小気味の良い翻訳にあるだろう。
圧巻は、ムートンをブランドワインとして成功させたフィリップ・ド・ロスチャイルドのストーリー、著者はこれが書きたくてロスチャイルド家の始まりにまで遡ったのではないかと思われるほど、ナチスによる迫害、1級シャトーを認めさせるための執念などなど、活き活きと描かれている。
ラフィット、ムートンを違った点で楽しめるおススメの一冊です。