「基礎と展開」、「実践」、「比較と対照」、「動向」、「essay」の五部構成。
特に「比較と対照」の部では、教育臨床、精神分析、認知心理学、構成主義の視点から、
ロジャーズの来談者中心療法をみていく。
ロジャーリアンが『来談者中心療法』を熱く語るのではなく、
相容れない考え方を含めたいろいろな切り口からみることで、『来談者中心療法』が、
『ロジャーズ』その人がくっきりと現れてくる。
「動向」の部の、「クライエントセンタード」はどこに行くのか(諸富祥彦氏)の中に、
「1990年代に入って心理療法の理論的立場から"Client-Centered(Rogerian)"の
カテゴリーが抹消された」という記載がある。
これは『来談者中心療法』が心理療法の一派としての勢力が小さくなったということ
ではあるが、評価が下がったということではない。カウンセリングの発達/発展史の中で、
『来談者中心療法』の果たした役割は大きく、その考え方は、これに続く他の療法の中では
「前提条件」として、「(すでに)あたりまえのこと」として組み込まれていった結果なのだろう
と思う。
他の部で、...この療法の「共感」は、『来談者中心療法』の「共感」とは、これこれこういう理由
で異なるという説明をしている。「共感」という言葉を精緻に定義して療法の違いを語ることは
療法の理論を明確にするには意味はあるのだろうが、実践の場でのカウンセリングを考えたとき
には意味はないのではないか...
と、いろいろなことを考えさせてもくれる。
読み終えると、『ロジャーズ』その人がくっきり浮かび上がってくる。