では、コミュニケーション能力が低下しているとはどういうことか。1つには、相手が何を言いたいのか、思っているのかを引き出す能力が低下していることである。もう1つは、自分の伝えたいことを相手にうまく伝えられない、ということである。そこに欠けているのが、論理的な思考と論理的表現能力である。
本書は、コンサルティング会社であるマッキンゼーのエディターとして活動している著者が、「ロジカル・コミュニケーション」の新しい手法について述べたものである。そのポイントは、話の重複や漏れ、ずれをなくす技術である「MECE(ミッシー)」と、話の飛びをなくす技術である「So What?/Why So?」を身につけることである。
MECEは「ある事柄を重なりなく、しかも漏れのない部分の集合体としてとらえること」を意味している。ちょうど、全体集合を漏れも重なりもない部分集合に分けて考える、集合の概念である。「So What?/Why So?」は、よく話をするときに「したがって」や「よって」「このように」などを使うが、それらの言葉の前後で話に飛びがなく、伝え手の結論と根拠、結論と方法のつながりを、相手にすんなり理解してもらうための技術である。「So What?」は「手持ちのネタ全体、もしくはグルーピングされたもののなかから、課題に照らしたときに言えることのエキスを抽出する作業」であり、「Why So?」は、「So What?」したときの要素の妥当性が、手持ちネタの全体、もしくはグルーピングされた要素によって証明されることを検証する作業」である。
これらの技術を何事においても習慣づけることによって、論理的思考力や論理的表現力がかなり向上するはずである。実践に即した問題も随所に載っているので、楽しみならロジカル・コミュニケーションを身につけられる。(辻 秀雄)
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13 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
どんな人を対象にしているのか?,
By す。 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル (Best solution) (単行本)
読み手のレベルによって良書か物足りない書かというのが変わります。論理的思考という技術について基礎ができている人には(値段の割りに)物足りない書、 初学者にとっては良書となりうるものだと思います。 いずれにせよ諸手で褒められる良書ではないと思うが、"どちらかというと"後者にオススメできる。 練習用の例題・問題が幾つも載っていて、それに対するヒントも書かれているのですが、 模範解答がないのが致命的です。 基礎ができている人にとってはこの点の問題はないかもしれませんが、一方で本文説明部分が それら対象者には無駄な部分となります。 初学者には本文内容は有用ですが、例題・問題は独習に向かない部分と言わざるを得ません。 結局、どんな人を対象にしているにせよ不親切な本だと感じます。 私は著者のセミナーにも参加したことがあります。 結局この手の技術は理解した先の、その後の実用段階の繰り返しの (訓練とも言うべき)経験によって本当に身につくものです。 それはセミナーで細かいご指摘を頂くことでも実感しましたが、それゆえに、 本書の解答のない例題・問題には問題があると言えます。 独習向けではなく教本向けというのは他のレビュアーも書かれている通りだと思います。 うまい商売してるなー、という雑感。 内容としては良いエッセンスが含まれているので、社会人・・・というよりも大学生くらいの うちにこういう思考法を理解しておくことはオススメする。 (その際に本書で学ぶかどうかは要検討・・・、ってところ)
128 人中、112人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
研修テキスト向き,
By 3q (東京都港区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル (Best solution) (単行本)
ロジカルシンキングの独習教材には不向き。理由は3つ。第一に部分的な手法の説明に終始し、全体像がつかめない。第二に、どのようにすればそれができるようになるのか具体的説明が乏しく結局わからない。第三に問題に回答がついていないので、独習に不向き。従って個人的にロジカルシンキングを学習する場合には欲求不満が残る。但し、講師が指導する場合のテキストとしては、これらの欠点を補足できるので逆に好適。
68 人中、60人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
理論よりも現場での実践を重視,
By 雷電 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル (Best solution) (単行本)
マッキンゼーのコミュニケーション・スペシャリストによる論理構成の指南書。ただ、論理構成そのものの解説というよりも、コミュニケーションを効果的にするための手段として論理構成をどのように用いるべきかという点に主眼がおかれているように思います。 それゆえ、非常に実践的な内容になっていると感じました。 まず、コミュニケーションの目的はメッセージを相手に伝えることという内容から始まります。 そのためには、話の重複・漏れ・ずれを無くすことが不可欠であるという主張へと展開し、 ・MECE:話の重複・漏れ・ずれを防ぐ ・So What?/Why So?:話の飛びを防ぐ という論理構成の横(MECE)と縦(So What?/Why So?)の説明およびその実践へと移ります。 各章のポイントには、日常的なコミュニケーションの中で散見される拙い論理構成の例を示し、どのように改善すべきかを訓練する練習問題が散りばめられています。 この点からも、本書は実践的な内容になっているものといえると思います。 本書の欠点は、例えばMECEやSo What?/Why So?もそうですが、いわゆる「コンサル用語」を多用しすぎているところにあります。これらの用語に対する説明が不完全なままに本題へと突入しているために本書全体の構成にやや論理の「飛び」が感じられます。 それを除けば、コミュニケーション上の論理構成の良い問題集と言えるでしょう。
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