冷戦の主役のひとつだったソ連が解体したあとの流れと、現在のロシア及び旧ソ連の国々の状況がコンパクトにまとめられている。NATOの拡大に対する苛立ち、コソボ独立承認をめぐる欧米との亀裂、中国との関係改善、オバマになってからのアメリカとの関係、MD配備をめぐる軋轢、中国との国境紛争解決による関係改善、外交カードとしての資源、腐敗、テロ、民族間の憎悪、弾圧、言論統制、チェチェン問題、グルジア、南オセアチア、極右への支持、周辺国の状況。
アメリカ、中国、南北朝鮮についての本はたくさんあるが、それに比べるとロシア及び旧ソ連に属していた国々についての本は少ない。領土問題で対立するロシアを好きだという日本人はそれほど多くはないだろうが、むしろだからこそ、意識を向けて知っておかなければならない国だろう。その点で、このような本は貴重である。新書なので値も張らないし、それほど難しくもない。例えば、北コーカサスの人々とロシア人の間の複雑な感情はニュースだけではよくわからないが、このような本を読んでおくことで新聞の片隅に載るテロや暴動や紛争関連のニュースの背景も理解できるようになる。
日本とロシアの関係については、主に後半に載っている。東日本大震災の支援についての背景や、原発をめぐる旧ソ連各国の複雑な事情についても解説している。