システマの基本をわかりやすく噛み砕いて解説して良作である。
このような体術を習得しようとする場合、DVDだけでは不十分で、やはり誤った動作、呼吸などについて随時指摘してくれる指導者が必要だと思う。しかし、DVDはやはり本で学ぶよりずっと間違いが少ない。特にこの作品は初心者が間違いやすい点を細かく解説してくれていて有用である。
「受け手役が貧弱だ」とか「トレーニングの負荷が低い」という批判のコメントがあるが、これこそがシステマをやる上で最も間違いやすい点であり、軍隊格闘技というと屈強な男をイメージしてしまう先入観が邪魔した代表例だろう。
システマの基本トレーニングはDVDの中でも再三言っているように筋力アップが目的ではなく、リラックスを保つところに主眼がおかれている。どのような状況でも呼吸と姿勢を崩さず、力まずに柔軟さを保ちつつ動く。その基本としてのプッシュアップやスクワットなのでありローリングなのだ。筋トレと勘違いして必要以上に負荷を問題にしてはいけない。
また、貧弱に見える修行者が使えてこそのシステマなのであり、屈強のモデルを登場させてしまってはそれこそ「こうなりたい、こうなるべきだ」という勘違いをして筋肉増強に走ってしまい力むくせをつけてしまう。システマの理念とは逆行した誤りをおかしかねないのだ。
このシステマを日常に応用したいなら同著者の
ストレス、パニックを消す!最強の呼吸法 システマ・ブリージングがオススメだ。呼吸の日常への応用法がたくさん掲載されている。
その書のなかでも「アグレッシッブな兵隊はど先に死ぬ」という興味深い事実が述べられている。
くれぐれも「ガチの軍人」などという幻想を描かないことだ。一見、貧弱に見えても柔軟に冷静に対応し最後まで生き残るのが真の軍人であり、それは実社会を生き残って行く上でも通じる理念だと考える。