解説付きで掲載されている作品が約150、写真付きで紹介されているものが約1000という圧倒的なボリューム。それは宮殿から、宗教施設、行政・軍事施設、文化娯楽施設、集合住宅、さらには駅や工場、橋などにもいたる。モスクワ、サンクト・ペテルブルグ、ウラル、シベリア、極東など全土を7つの地域に分け、さらに歴史の流れに沿った10の様式に分類する記号をそれぞれに付して整理している。そして、その建物がどのような時代背景のなかで建設されたか、設計者は何を考えていたか、激動の時代のなかでどのように変遷していったか、といった詳細な解説を付している。建設時のエピソードや、ロシア各地域の歴史・風土に関するいくつものコラムとあわせ、もはや建築ガイドブックという域を越えた、ロシアの歴史や文化を知る格好の入門書となっている。
ロシアという大国が蓄えてきた文化は深く、鋭い。著者であり、写真も提供しているロシア人建築家リシャット・ムラギルディンの、ロシアを知って欲しいという熱い思いが、これだけのボリューム、密度を生み出しているに違いない。掲載作品の位置がプロットされた各都市の地図は、これだけでも貴重な資料であり、またこれがあることで教科書的、資料集的な印象ではなく、ロシアの今を感じるリアリティーを備えている。
建築、美術関係者だけでなく、文化、歴史に興味を持つものすべてが、いままでにまったく見たことのない新しい世界の扉を開き、カルチャーショックを感じられる1冊である。(中谷俊治)
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外国の観光ガイドブックには、歴史、美術、建築などの情報が極めて豊富ですが、日本のガイドブックで、建築についてくわしい情報は期待するほうが無理。
ロシアに観光に行かれる時には手元に、行けない場合には、枕元に?置いてじっくり楽しめる本です。建物の名前には、ロシア語も書いてあるので、現地で人に尋ねる時にも便利でしょう。索引もとても充実しています
ロシアと言えば、赤の広場や、広場に立つユニークな形状の寺院などを思い浮かべるが、様々な個性の建物があることが判る。モスクワのみならず、“華麗なる帝都”だったサンクトペテルブルグや、訪れた方が多いとも思えない地方都市まで含め、ほぼロシア全土の建築に着眼して紹介している。
何時でも手に届く所に置いておいて、随時愉しみたい一冊だ。実はモスクワに滞在した経験があるのだが、その頃にこれがあれば、もっと街を歩くのが愉しかっただろうと思われる…ロシアへ行くチャンスのある方は是非手にしていただきたいし、「ロシア?」という方をも飽きさせな!いと思う。
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