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本盤の録音はそれぞれモスクワで行われているが、思った以上のクオリティで50年代の録音も安定していた。
プレストはシューマンが当初ピアノソナタ第2番の終楽章として作曲したもので、結果的に一つのアルバムに集められて良心的な企画となったと思う。
いずれもヴェデルニコフがその個性を存分に発揮した名演揃いで、冒頭のトッカータでは均等にかけられた力によってつむがれる運動美が見事。決して無機的な響きではなく艶やかで壮麗な音の階段となっている。
幻想曲はたいへんスケールが大きく、洗練された快適なテンポで全曲を貫いており、表現の一つ一つがたいへん合理的だ。
その合理性は確かなテクニックに支えられているもので、特に幻想曲では左右の手にそれぞれ特異な配慮が求められるが、それらの問題点を、たいへん鮮やかに解決している。
それでいて決して音楽の熱が冷めず、生命力に富んだうねりがある。
これまた、シューマンのピアノ曲が好きな人には、絶対オススメの名演だ。
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