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ベートーヴェンの1番という中後期の作品と比べて演奏機会が少ない曲に対しても、そうした態度は変わらない。実に丁寧に音を積み重ねる。リズムを煽るようなことはしないが、推進力は十分にある。最終楽章では炎のような盛り上がりを見せて終わる。
とはいえ、やはりこのディスクのメーン・ディッシュは何といってもハンマークラヴィーア・ソナタだろう。
確かな技巧をひけらかすことなく、中庸なテンポで始まる第1楽章。第2楽章では、速いパッセージも極めて正確に演奏されている。そして、全曲の白眉とも言うべき第3楽章。ピアノ以下の弱音を多様して、慈しむように、祈るように美しい音色でじっくりと弾き込まれるこの楽章は、聴く者を本当に清らかな気持ちにしてくれる。
第4楽章での対位法の処理はこのピアニストの得意とするところで、強弱、音色の変化を駆使して、壮大なクライマックスを迎える。
ロシア・ピアニズム名盤選挙が出る直前には、インターネット・オークションで1万円以上の高値を付けるなど、再発が待ち望まれていただけに、多くの人に聴いていただきたい。
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