ロシアの本を読むといつも政府の強権ぶりに驚く。今年のメドべージェフの圧勝にも違和感があったが、本書を読んでさもありなんと言う感を持った。中間発表より最終発表の方が野党の得票数が減っている、区議の指示で区役所職員が替え玉投票する。首長がすべて政府の任命のために、このようなことが起こってしまう。
笑ってしまったのが、プーチンがテレビで国民の質問に答えるという番組。「こんにちは、ヴラジミール・ヴラジミロビッチ」と題された1章で、国民から寄せられるさまざまな質問や要望にプーチンがあれこれと答える。腕時計を右にはめるのはなぜか、子育てはどうしたか、携帯番号を教えて欲しいと他愛のない質問が並んでいるが、時には水が出ない、学校が閉鎖されたままだという直訴を叶えることで「すぐやる」行動力をアピールする場にもなっているが、無批判に国家指導者を賛美する番組が放送されるのもロシアらしい。
公刊情報だけでなく、選挙不正に荷担した区役所諸君の話など、著者自身が汗を流して得た情報も多く、読める内容になっている。民主主義の仮面をかぶるロシアの現状について批判的に描いている。トピックはほとんど今年(2008年)のものであり、現状を正確に反映できているのではないか。