『ソビエト帝国の崩壊』(カッパブックス)の著者である小室直樹氏は、ソ連崩壊を予言したこの本がベストセラーに成った後、或る雑誌の対談で、「ソ連が崩壊すると言ふと、喜ぶ人が多いが、ソ連が崩壊したら、大変な事に成る」と言ふ意味の発言をして居る。
本書を読んで、私は、小室氏のこの予言を思ひ出した。この本は、1956年生まれのロシア経済の専門家である塩原俊彦氏が、インターネットのサイトを含む豊富な資料を呈示しながら、ソ連崩壊後のロシアの軍需産業の動向を分析した、深い本である。本書に述べられたソ連崩壊後のロシア軍需産業の動きは、核物質の国外流出の可能性をはじめとして、戦慄を覚えずには居られない物で、小室氏の上の予言を裏付ける様な事実が多数語られて居る。本書の冒頭で語られるイラク戦争(2003年)におけるロシア製兵器の役割をはじめとして、北朝鮮の核開発も、中国の軍備拡張も、ロシアの軍産複合体の動きと無関係では有り得ない事を、日本人は銘記するべきである。本書が、特に、日本の政治家に読まれる事を強く願ふ。
(西岡昌紀・内科医)