本書は「ロシア本」というジャンルを超えた魅力を放っている。トクヴィルの「アメリカの民主主義」と同種類の知的興奮を味わえるといえば大げさだろうか。ひとつの国をがっぷりよつで分析するためのヒントも多く、ロシアに関係する人以外も一読する価値がある。
本書は「ゲームのルール」というキーワードのもと、2020年までのロシアを占う視座を提示する。読者は、ロシアの内政、外交、経済・エネルギー、国民生活の4分野で、「ゲームのルール」がどう貫かれているかを追跡できるだろう。筆者は1973年生まれの中堅外交官であると同時に、社会科学と地域研究で最高度の訓練を受けている。「●●は良く分からないが、少なくとも■■とは言える」といった叙述が多いが、これは著者の力量不足といより、情報統制の行き届いた今のロシアを前にした知的誠実さを示したものだ。各国語に訳せばそのまま通用するだろう。