こんな作品を書ける人が、ヤングアダルト界にいたんですね…。いやはや世界は広い。
故国を滅ぼされ、普通の農村の娘だったヒロインは高級娼婦に仕立てあげられ、引き離された妹を救うことを心の支えに生きていた。
そんな彼女とひょんなことから引き合わされた将来有望な海兵のヒーロー。彼もまた、元々は夜の街の人間だった。
なんというか、普段少女小説を読んでいる時は、「そうだよね、そうやって落ちるよね」とニコニコしていられるのですが、この作品は、「そうか…そこでそう来るか…」と感嘆のため息。特に終盤のヒロインの健気な想いには心打たれました。
自分とはかけ離れた境遇にあるヒロイン・ヒーローの心の動きが読めるというのは、普通に考えると不自然で、傲慢な言い方をすると作者が読者の思考レベルを越えられていないということ。この作品はその点素晴らしい。キャラクターが本当にその時代、その環境、その場面を「生きて」います。
ただ、心理描写を主軸に置きすぎて、ストーリーの起伏が薄く感じられたのは残念。
盛り上がりがないというより、盛り付けてない感じ。緊張感のあるシーンもさらっと流れていきます。
文書が巧いので最後まで一気に読み切れましたが、もうちょっと目を引く部分があってもよかったと思う。
特に最後、あれで終わりじゃなくて、幸せになった二人のその様子を見せて欲しかったです。
…と思うのは、私が最近のサービス満載の甘々小説に毒された小娘だからでしょうか(笑)
皆様の言うとおり、精神的に大人向きです。
一本筋の通った、しっとりした恋愛小説を読みたい方、ぜひ。