A5判・横組みという判型へのいちゃもんはつけなきゃと思う。
四六判・縦組みにしたほうが、絶対にもっと売れたはずだ。
願わくは、値段もあと1000円下げ、より一般の人に開かれた装幀を
ほどこすという英断はなかったものか…
でもいちゃもんはこれくらい。中味は平易な記述で、かつ文句なしに
面白くて、最低限のヨーロッパ近代外交史の知識があれば、どんどん
ページをめくれる。興味深いエピソードも実に豊富。
英国の覇権のヒミツが世界最大の海軍にあったとは、知識としては
知っているけど、その中身や行動についてはあんまり知らないのが常。
そうした、これまでの研究や認識の「スキマ」を見事に埋めてくれている
のが本書である。
このような、日本ではマニアの間でしか消費されてこなかった
(いや、マニアでも知っているかはあやしい)19世紀英国/フランス
海軍史を、ここでは広く外交史の側面を絡めながら論じている。
こうした論文集は、各著者が書きたいことを書き、まとまりがなくなる
のがお約束。しかし本書は、おそらくは編者のリーダーシップの下に、
見事に各章の連関性と統一性(均整)がとれている。
これまで陽のあたらなかった分野に光をあてた著者たちに拍手。