何十年も前の翻訳をそのまま文庫化して出版するという、何とも安直でお粗末な企画が、この中公文庫のシリーズである。これで金を取るとは笑止千万だ。
レーニンにもトロツキーにも失礼と言うだけでなく、こんな古い翻訳をそのまま出された松田道雄氏にとってもいい迷惑だろう。松田氏は河出書房新社版では旧訳にあった多くのひどい誤訳をそれなりに修正している(ただしそれが不十分なのは、注記からも明らかだが)。なのに、修正した方を用いず、古い翻訳の方をそのまま出すのだから、ひどい話だ。
翻訳をひどく舐めているし、出版文化を軽んじている。しかしこれが日本の出版文化の水準なのだろう。今さら嘆くのは野暮なのかもしれない。