衝撃的なタイトルで、内容も刺激的で、自動車レースの歴史の一面を知りたいマニアには興味深い一冊だと思います。
ただし内容には事実誤認が多く、論理が破綻している点も多々見られます。事故で燃え上がるマシンから火だるまのレーサーが降りて絶命した(事故の状況から見てありえない)。T社のマシンは外国のエンジンをコピーしたエンジンを使っておりけしからんが、N社は会社合併で忙しかったので外国製エンジンをそのままマシンに載せても仕方ない(あまりに不公平)。自動車は「三等機械」でレベルが低く、レーシングマシンに隠すべき秘密など存在しない(自動車メーカーの人やマシン開発者が読んだら大いに憤慨するか、あるいは何も分かっていないなと嘲笑するでしょう)。レーシングマシンにはスピードメーターが付いていないので走行速度は指定できない(エンジン回転計の数字とギア比などの係数から速度は簡単に割り出せる)・・・などなど、非常に初歩的な間違いや論理破綻が多数見られます。
ものごとを公平な見方で語るのではなく、著者があらかじめ思い描いたストーリーを成立させるために、全ての情報をこじつけて組み合わせているような面も見られます。
読み物として面白いのは事実ですが、内容を鵜呑みにすべきではないでしょう。