文化人類学とは何か?そしてそれが現代社会や人類に対する果たすべき役割や思考方法が、3回の講義を通じて初めから終わりまで徹底して貫かれており、とても理解しやすく文化人類学入門書、また多様な文化の捉え方を考えるうえで最適な本です。
いわゆる「未開社会」で生活している人々に対して、近代社会の人間が安易に抱きやすい「優越感」や「非合理性」などの価値観に対して、丁寧にその壁を崩していきます。
「人類の歴史のおそらく99パーセントに当たる期間、そして地理的に地球上の4分の3」で、人類は未開社会の中で生活してきたこと、また非合理的に見える信仰や習慣も、数世紀を経てそれぞれの地域で形成されてきたものであるが簡単に崩れやすいこと、そして唯一普遍的な価値観といった枠を持つべきではないし単純に他に当てはめるべきではない、といった提言の数々は人類全体と社会の多様性を考えるうえで頭の片隅においておくべき言葉でしょう。
もちろん、単に入門だけにとどまらず、未開社会における性や神話の特徴と比較、そして遺伝と文化の関係から日本の文化まで論じるなど、その内容は充実しています。個人的には以前読んだ「銃・病原菌・鉄」(ジャレド ダイアモンド著)が思い出されました。未読の人は共に是非お勧めします。