桐島新太は、少年向けレーベル『月光文庫』を買うためにバイトをする高校二年生。読書をして感想をレーダーチャート化するのを趣味とする彼には、ひとつ、他人と違うところがある。それは、小学三年生のときの【梅干戦争】をきっかけに、世界に漂う白い霧が見えるようになったこと。
後輩の宮野小雪をかばったせいもあり、バイトをクビになった新太がふらふらと街を歩いていると、またもやあの白い霧が目に入った。自らの人生訓に基づき無視を決め込もうとしたものの、好奇心に負けて追いかけた先にあったのは、古い貸本屋「満月堂」。それが新太と"観測者"満月ツクモの初めての出会いだった。
"認識"をキーワードに、世界の"空白"と観測による具象化という世界観を生み出し、それを記録するという結構重要な役割に、態度はでかいけれど実力が伴わない女の子をつけることで、ほとんど普通の少年が介入する余地を残している。そして、ただ記録するというかなり地味な行為に対して、少年にとっての大きな意味を持たせるため、学校の図書室という同じくらい地味な舞台を用意し、その舞台に不釣合いな程の騒動を起こさせるのだ。これにより、ただ静かに過ぎていくだけだった少年の生活は一変してしまう。
ただ、導入部のイベントが面白く、その時に出来上がったキャラクターのイメージが大きいためか、高校生になってから登場するサブキャラの印象が相対的に薄くなっている気がする。それぞれの役割分担は明確なのだが、それぞれになじみきっていないというか、変な話、演じているという気がしてしまう。しかしそのあたりは、話が進んでいけば自然に解消されていくだろう。あるいはこういう薄い関係性が、最近の友情の描き方なのかもしれない。
個人的には、観測対象にボールをぶつけるという描写が、素粒子に光子をぶつけることの比喩表現みたいで面白い。設定はシリアス、ボスキャラはギャグ、展開はラブコメという、様々な要素が絡み合った作品です。