料理の話なので地味になるかと思ったら、厨房内はもちろんパリの街で繰り広げられるアクションもあるし、アニメならではの動きや描写も多い。
それに、とにかくレミーがちょこまか動く動く。ネズミが狭い迷路が動く独特の視線が、見る側も体感できる映像は、さすがピクサー!! それだけで、子供は普通に楽しめるでしょうし、大人が観ると、人間の才能だとか、その才能を評価する事だとか、いろいろ考えさせられる映画となっているのがスゴイところ。
もうひとつの主役でもある料理が、おいしそうなのには驚きます。料理の質感や、弾力、粘性、まで表現できている。食べ物をおいしく見せるのは、これまでアニメが苦手としてきた部分なのだけれど、正直、生唾を飲み込む場面もあったほど。それに、レミーが本当に楽しそうに料理を作るんだよね。観てると美味しい物が食べたくなるし、料理が作りたくなる。
脚本もよく練られています。レミーとリングイニの、シェフとしての成功物語がメインになっていますが、彼らの秘密を嗅ぎつけた料理長との駆け引きや、グストーを死に追いやった毒舌料理評論家イーゴとの対決など飽きさせません。笑って、ハラハラして最後にちょっと感動させる流れもお約束ながら、上手いしイヤミがない。
ラストには、「正しい評論とはどうあるべきか」というメッセージもありました。
以下オマケです
原題は“RATATOULLE”です。「南フランス流野菜の煮込み料理」のこと。「リングイニ」(Linguini)がパスタのリングイネ(linguine)のモジリであるように、ラタトゥイユを持ちだしたのは、rat(ネズミ)+touille(かきまぜたもの)を暗示するためでもある。ちなみに、「グストー」(Gusteau)も、gustatif(味覚の)やgustation(味感)を暗示し、gastronome(美食家)とも関係があります。