「レパントの海戦」=強大なオスマントルコ帝国をキリスト教国家が英知を尽くして降した歴史的一戦…というのが世界史オンチの私の知識レベルでしたが、それでも本作は示唆に富み、また、読み物として楽しめました。
印象的だったのは、勝ったキリスト教国側のドタバタぶり。開戦意思や指揮官の選出などでことごとく各国の思惑が入り乱れ、まったく意思統一できない状態での開戦。そのあたりを塩野氏ならではの筆致で、現存する一次史料をもとに時系列で、かつ、多角的に読ませていきます(場所と時期がいったりきたりするので少し読みにくいですが…)。
勝利をおさめたヴェネツィアなど海運国にとって、既に大西洋に主な舞台が移っていく大航海時代にあっては、この勝利は最後の栄光だったというところも歴史の皮肉を感じます。
是非、「海の都の物語」と合わせて一気に読んでみてください。