ガーディナーのオーケストラ&合唱のコントロールは相変わらず卓越しているが、このオペレッタには絶対必要な「色気」がない。スタジオでのCD録音だということもあるのだろうか。何もここまで細かいところにこだわらなくても・・・という部分が多い。歌付き交響曲などだったら「素晴らしい」ということになるのかもしれないが、このスケベな人たちのお色気話には,何とも場違いである。例えば、第2幕カミユとヴァレンシエンヌのとても美しい二重唱"Sie dort den kleinen Pavillion"の部分。ここは不倫の現場で、これから二人が東屋でセックスをしようとしている場面である。ここをこういう風にシンフォニックな伴奏を付けられてしまうと、こちらとしてはしらけてしまうのである。
歌手もビッグ・ネームがそろっているが、今ひとつ個性に乏しい。特に主役のシュトゥーダーは声量が小さく、存在感が薄い。ダニロを歌うスコーフスもどことなく一本調子。ダニロは世紀末のデガダンを体現する人物なのだから、もう少し甘ったるくやってほしかった。ターフェルは逆に表情過多でちょっと場違いな感じ。歌手の中ではカミユを歌っているトロストがいちばんしっくりと来た。愛に命をかける色男の「情熱」のようなものが感じられた。
一流のオケ、一流の指揮者、一流の合唱団、そして一流の歌手をそろえてもこのオペレッタは成功しない。それを実証する演奏である。