本書は、米国のロック雑誌「ローリング・スト-ン」の編集長ヤーン・ウェナーによる、ジョン・レノンのビートルズ解散直後(1970年)の歴史的インタビューである。“John Lennon/Plastic Ono Band”(邦題「ジョンの魂」)(私は彼の最高傑作だと思う)発表の年に行われた。ウェナーによるインタビューは、現代の情報からみれば物足りない部分がないとは言えないが、1970年との時代を考えれば相当ハイレベルである。
ビートルズないしジョン・レノンについて書いた本は無数にあり、私は和書・洋書合わせて数十冊の本を読んだ。その中で、必読とまで言える本は実はそう多くないが、本書は最高のもの。
最も重要だと私が思ったのは、(ロック・アーティストとだけでなく、)シェイクスピアのようなあらゆる分野の最高の芸術家と、ロックという手段を用いて競争しているのだ、とのレノンの強い意志と芸術感が述べられている点(P.136~P.137)。
他に、レノンの幼少期、リバプールという出身地の特性、ビートルズ、自分のベストソング、好きなアーティスト(音楽、美術、映画など広い意味であり、チャック・ベリー、B.B.キング、マルセル・デュシャーンなど)、ポール・マッカートニーへの思い、ヨーコとの出会いや関係などが述べられている。
この原書では、”meself”(myselfではなく)、“H”などの正式の英語ではない、レノンが話したとおりの俗語・口語表現が修正されずそのまま残されていて、肉声が聞けるようで感激する。