言語において、いかにメタファーが重要であるかを示した歴史的著作。
言語どころか、思考までもが実はメタファーに左右されているとか。
以下概要
メタファーには常套的メタファーと非常套的メタファーがある。
前者は、例えば「時間を浪費する(浪費、はもともと金に対する言葉)」のように、もはやフレーズとして我々の日常に深く入り込んでいるものである。
後者は、「その理論は、排水管周りに欠陥がある」のような、定型的な使い方でない、まさしく通常メタファーと呼ばれるものである。
メタファーは、その特徴においてまとめ上げられることが多い。
例えば、「時間を浪費する」「時間を節約する」「時間をとっておく」などは、時間を金になぞらえている点で類似している。
メタファーは、われわれの思考・概念を形作る。
例えば、上記のように、我々は時間と金とを似たように考え、また概念づけられている。
どのようなメタファーが作られるかは、個人の経験や社会全体の歴史・経験・慣習に依拠している。
我々の言語の理解は、言語と我々自身との相互作用によるものである。
言語が独立で絶対的意味を有したり、我々自身が絶対的に意味を決めれるわけではない。
我々の理解を決めるのはメタファーである。
これまで無視されてきたメタファーを言語学のど真ん中にもってくるのは圧巻でもある。
なお、本書の原著は英語なので、英語が持ち合わせている概念(例えば、upにはどのようなイメージが付与されているか)の具体的な例も豊富に出ている。
本筋から外れるが、英語を学ぶ上でも本書は有用だと思われる。