☆3/3(監督の世界へどっぷりと)
卑猥であるとして出版当初裁判沙汰にもなった英国近現代性小説の映画化です。
小説などの文字作品は、映画など映像作品に比べて個々人の想像力を働かせられる余地が大きいため、他者による映画化というのはなかなか難しいものがあります。
そしてこれはフランス人監督の作品であり、仏/英国の国民性の違いによる原作とのさらなる乖離を鑑賞前に心配していました。
しかし、私の場合は原作を読んで自分に膨らませていたイメージと多くが重なり合いました。コニーやクリフォード、メラーズ、ボルトン夫人など登場人物がみな容姿性格ともに遥かにイメージ通りで、すんなり映画の世界に入り込み楽しむことができました。
問題があるとすれば、原作を読む際に大きな問題となる、<方言の問題>が日本語音声で何も表現されてなかった点と、監督も仰る様に<性の問題>描写の不徹底さなどです。映像化について問題はあると思われますが、原作は性小説というよりは、主題として堂々と真正面から<性の問題>に取り組んでいて、それにはコニーやメラーズの性行為の具体的変化/成長の描写などは避けられません。
これらは物語の根幹に触れる部分として表現の不十分さを感じました。
とはいえ、小説という白黒世界の媒体には絶対的に欠いているものがあります。それは<色>です。この映像作品を目にしたとき、コニーの赤色や、自然の緑や黄、なんとその色鮮やかなこと!
また、私達にはなじみのない異国文化、たとえばメラーズが森番として森に暮らす風景なんて想像しにくいわけですが、
それが壮大かつ繊細な大自然の姿をとって一瞬にして訴えかけてくるその圧倒的映像美の力とは!!
私の想像力なんてたかが知れたものだと思わされるほど素晴らしいものであり、監督の芸術性の高さと映像作品の利点とを改めて痛感させられたのでした。