上巻では、犯行に及ぶまでの犯人たちの心情や歴史が描かれていたが、中巻では振り回される被害者と警察とネタを追う新聞記者が描かれ、上巻でよく知るようになった(つもりの)犯人たちは影しか見えない。
行き詰る捜査がもどかしいやら、自分だけは知ってる犯人にたいしてあれこれ思うやらで読みながらも忙しいのだが、しかしなんといっても中巻の読みどころは、城山(誘拐された社長)と合田(警護という名目で社長に張り付く刑事)の仕事振りであろう。
自社を守るため警察に黙って犯人と取引しようとする城山と、警察官として犯人をつきとめたい一心の合田。
企業の利益と、犯人逮捕。
どちらも公人としての任務を全うするため譲れないわけだが、そんな二人にもごくたまに私人となる瞬間があり、普段は抑えなければならないお互いを助けたいと言う気持ちが溢れ、そのわずかな隙間に胸を打たれる。
最初から隙間があって、みんなが善人だったならばきっと感動はないんだろうな。
隙間がないからといって諦めず、自らの努力で隙間を作っていくところに、人としての尊厳があり、感動があるのだろうな、などと思った。
果たして、仕事上自分はどうか?
全てのサラリーマンに捧げる名作。