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20 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
名作が文庫化,
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レビュー対象商品: レディ・ジョーカー〈上〉 (新潮文庫) (文庫)
1997年に発売された同タイトルの文庫化。一心不乱に読みながら、興奮に手に汗を握り、あまりの悔しさや切なさや、また感動にのた打ち回るのは大学生だった当時も今も変わりはなかったが、思わず涙してしてしまったのは、改稿ゆえか、会社員という立場に変わったからか、単に年を取って涙腺がゆるんだからなのか。 ともあれ、人は変わるし、変わることの出来る生き物だということを信じていますよ、ええ。 以前の作品をご存知の方もそうでない方もぜひご一読を。 上巻は、誘拐事件まで。 本書の冒頭、昭和二十二年の「怪文書」に引き込まれたあなたに、眠れぬ夜がまっています。
17 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
改稿と我々の時代の変化で二度美味しい,
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レビュー対象商品: レディ・ジョーカー〈上〉 (新潮文庫) (文庫)
グリコ森永事件をモチーフとした長編。文庫本化に際して、高村薫氏恒例の改稿が施されている。改稿前の作を最後に読んでからだいぶ経ってしまったので、曖昧な記憶しか残っておらず読み比べないことにはどこがどう変わったかというのは明確には言えないが、「マークスの山」、「照柿」、同様かなり手が加わっているように感じる。また全体的に文章が読みやすくなっている感がある。(と言っても冒頭の文体は変わらず) 登場人物の描写がかなり丁寧になっている気がし、本編たる企業テロだけに留まらず、部落問題や障害者など日本社会が見て見ぬふりをして過ごしている問題はこれまで以上に切り込んで深い描写がなされている。 1990年代前半の日本が舞台で、現在の日本が当時と比べてあまりに多くの物事が変わってしまったという感想を持った。9.11以降、テロという言葉が日常的に使われ、息苦しくぎすぎすした感が日常的になり、それに対して何の疑問ももたなくなっているが、90年代日本が舞台の本作を読んで、今の社会情勢がいかに現代固有の事象なのかということを痛感させられた。だから、初めて本作を読んだ時と、10年近く経って読んだ今では受け止める印象がかなり違ってくる。今となってはこの作品は初出が90年代だからこそ発表できた小説でないかとすら思える。 また、インターネットや携帯電話が今ほど普及していない時代の警察や報道陣の描写は、この10年、20年で技術が大きく発達したものだと改めて気づかされる。 改稿前を読んだ人は改稿箇所で楽しむこともできるし、我々の時代の変化による読み応えの変化でも楽しめる。初めての人は、改稿のことは気にせずに圧倒的な筆致による高村ワールドを存分に楽しんで欲しい。
13 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
当代きっての書き手の代表作・やはり圧倒されます,
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レビュー対象商品: レディ・ジョーカー〈上〉 (新潮文庫) (文庫)
オウム事件に題材を取った村上春樹氏の『1Q84』が話題になっているとき、カルトのテロに揺れる90年代初頭の日本を舞台にしたこの傑作が文庫化されたことは 偶然とはいえ、感慨を覚えてしまいます。 昭和22年に書かれた冒頭の手紙に始まり、名もない庶民の戦後史と巨大企業の自己防衛が 運命的に絡み合って大きな事件に発展する上巻は、きわめてスリリングです。 事件が勃発してからの息詰まる展開、 戦後の日本政治・経済に向けられた批判的な視点、庶民の哀感としたたかさ、 財界・官界・マスコミ等、日本社会を動かしてきた機構と それをになう男達の迫真的で緻密な描写には、ただただ圧倒されます。 とりわけ心ならずも事件に巻き込まれていく日之出ビール社長城山恭介、 合田雄一郎をはじめとする警察陣、巨悪を探る根来記者などのマスコミ関係者といった ひとりひとりの葛藤と孤独と懊悩が、この作品に単なるサスペンスにとどまらない 奥行きと重厚さを与えています。 高村氏は、この『レディ・ジョーカー』以降、日本の戦後を鋭く見つめた優れた作品を 次々と生み出していきます。当代きっての書き手のターニングポイントとも呼べるこの傑作を 改稿された文庫で読むことができるのは、実に嬉しいことです。
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