40年代のハリウッドを代表する“スクリューボール・コメディ”の名手プレストン・スタージェスの傑作コメディが、今回晴れて廉価版として手に入る事が出来るようになった。メデタイ!スクリューボール・コメディは、とにかくテンポの良さとギャグの切れ味と畳み込みが身上だが、今作は、序盤の、豪華客船でのビール会社の御曹司と詐欺師の娘の出逢いから息つくヒマなく、パンチの効いたギャグの波状攻撃とウイットに富んだ台詞回しが味わえる。観る者に予断を与える間もなく、あれよあれよとドラマがスピーディに展開し、ラストまで一気に突き進み、物語にのめり込んでしまう事の快感。純粋コメディであるにも拘らず、ロマンの芳香薫るムードも素敵。これはひとえに、バーバラ・スタンウィックの魅力に拠るものだが、今作の彼女は、個人的には、自身の代表作であるファム・ファタールの傑作「深夜の告白」より遥かに魅力的だ。客室での、ヘンリー・フォンダとの、お互いへの好感をはぐしながら吐露しあう場面の長回しは、ロマンティシズムとエロティシズムが融合した名シーンだと思う。40年代から50年代に掛け、コメディ一筋に作品を残したスタージェス、ここ10年位前から日本でも再評価されてきた名監督だが、実は脚本家がメガホンを取った最初の人物だったと言う。