人類初の有人火星探査船をめぐるSFアドベンチャー。私はとてもしびれました。科学的にはおかしなところがいくつかありますが、マトリックスのスタッフがかかわっているというだけあって、切っ先鋭いVFXは大いに楽しませてくれます。
また脚本のあちこちに隠し味があってそれに気づくのも映画ファンにとっては一種の知的遊びのようで楽しめます。例えば:
キャリー・アン・モスが演じる宇宙船の船長の名がケイト・ボーマン。これは「2001年宇宙の旅」のデイブ・ボーマンへのオマージュでしょう。さらには宇宙船に搭載されている人工知能の名前がルシールというのも「2001年」のHALを意識した名前に違いありません。船長も人工知能も性別が2つの映画の間で対称的となっているのも計算ずくでしょう。
またヴァル・キルマーとテレンス・スタンプが宇宙船内を散歩しながら交わす会話の中で、「うちのじいさんによれば、電池に命を託すような男はバカだそうだ」というキルマーの台詞があります。これは実は映画のラストにかかわる非常に重要な伏線となっています。彼が「電池に命を託す」かどうかは見てのお楽しみ。
映画本編が終わった後に付加されている未公開映像集は、崖上での喧嘩(FIGHT)のシーンを除けば、「特典」とよぶにはちょっとお粗末です。この程度ならば必要ないですし、むしろディレクターズカットのように本編に組み込んで提示してもらったほうがよかったでしょう。