プログレ・ロックの一つの頂点。一曲目の「レッド」から最後の「スターレス」まで、まさにメガトン級の重厚でいて、無駄肉がゼロの凄まじい音世界が展開する。精神に影響を与えるのではないか、というぐらいの複雑で調和しない和音と自在に展開するリズム。強いていえば二曲目の「フォーリン・エンジェル」だけが前半部だけちょっと牧歌的でありバラード調で、レッドで緊張しまくった神経が弛緩させられるが、この曲の後半はうねうねとまた重い曲調になるし、それに次ぐ「ワン・モア・レッド・ナイトメア」はまさに「レッド」の重厚な狂気に近いような音世界を再現させる。四曲目の「プロヴィデンス」は、静寂の中に鉛のような鈍重な重みを孕む、これも凄まじい曲である。そして、悲しく絶望的なスターレスのコードをキーボードが奏で始める。それに被さるようにメタリックでディストーションがかかりまくったギターがメロディーを弾く。ドラマティックでいて、しかし皮下脂肪がほとんどないこの緊張感溢れる曲の凄まじさは前人未踏に近い。あの奇跡的なロック史に残るデビュー・アルバム『クリムゾンキングの宮殿』をコマーシャル的にはともかく、音楽的な完成度でみればある意味で越えた大傑作。