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ロックン・ロールの歴史をどんなにさかのぼっても、本作『Red Rose Speedway』のようなアルバムは見つからないだろう。傑作とは言えないが、怪作である。ウイングスのアルバムなのに、完全にポール・マッカートニーの独壇場。ツアーのリハーサルをやろうとしたウイングスの面々が、ポールの巨大な影に圧倒されて仕事を放棄してしまい、彼を野放しにしてしまった場面をつい想像してしまうほどだ。
バンドがそうなるのも無理はない。バラの花をくわえたポールのジャケット写真を見れば分かるとおり、本作はポール・マッカートニーについてのアルバムだ。もう少し具体的に言えば、こぢんまりとした佳曲を「Hey Jude」の規模にふくらませるというポールの70年代の得意技に焦点を当てた作品なのである。もちろん、スケール・アップさえすれば「Hey Jude」のような名曲に仕上がるとは限らないのだが、ポールはそのリスクを恐れなかった。あるいは、リスクの存在に気づいていなかったのかもしれない。
最大の聴きどころは激甘チューンの「My Love」。マッカートニー夫人の性的魅力をテーマにした、柔らかな雰囲気を持つ陶酔的なバラードだ。アルバムの残りを占めるのは、華麗にプロデュースされた気だるいロック。時に甘く、時にウンザリさせられはするが、ポールらしさは全編にあふれている。一体ポールは何をやりたかったのか? それを考えてみたいなら一聴の価値ありだ。(Taylor Parkes, Amazon.co.uk)
内容(「CDジャーナル」データベースより)
73年に発表されたウイングスの2作目。前作よりも緻密な音作りで,ポールのパブリック・イメージに近いポップな仕上り。特にヒット曲2や9のメドレーなどはポールの独壇場。彼の伎倆はまさに職人的で,芸人根性も超一流。プロです。10~12はCDのみ。