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しかし、最後まで違和感のあるのが、フランクの殺人である。彼自身のライバル、そしてナフス(影)であるブーン殺害を巧妙に扇動する心理は理解できる。たとえ彼の飽くなき権力志向を認めたとしても、熱く激しい内面をたぎらせているあの人物が、冒頭で顔色を変えずに暗殺者を毒殺した!!人と納得できない。女性(美人のヒロインは「バイオハザード」のミラがイメージかな)に対してはうぶであり、下巻では好感すら抱くのだが…。
それはさておき、上巻では、サックスとアンの論争が圧巻だ。「火星の美しさは人の心にある」と言い切ってテラフォーミングを進めようとするサックスに対し、アンは、人間が宇宙の意識であるということは宇宙を意のままにできるということではないと言って対立する。
どちらかが正しいわけでもない。科学のありように関する永遠の問いが、火星という生命のフロンティアで語られていること、ただそのことを大切に感じた。生命科学のフロンティアは常にこの問いにさらされている。どちらの態度が選ばれているかは自明であるが、そこに葛藤はないのかを思って、考えさせられるのだ。
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