アメリカ人で唯一「赤の広場」に埋葬されている実在のジャーナリストJ・リードを主人公に、ハリウッド大資本で正面切って描かれたアメリカに於ける社会主義運動台頭の歴史。インターミッションを挟んでの堂々195分の超大作だが、そこはアメリカ映画、ただの社会派ドラマに留めず、20世紀前半の知的インテリゲンチャたちのラディカルで奔放な理念と生き方を、V・ストラーロの圧倒的映像美と、R・ローレンのファッション世界から抜け出た様なトラッドで粋な衣装デザインの数々と共に、愛とロマンを織り交ぜながら、重厚に活写させた。中でも、米英仏の第一次大戦参戦を契機に反戦、マルクス主義に急傾していくリードと女性解放論者L・ブライアントの自由恋愛に、劇作家Y・オニールが絡み三角関係になっていく第一部は見応え十分。そして、今作は、アメリカ映画史上初めて(そして恐らく絶後だと思うが)革命歌「インターナショナル」をフルコーラス聴かせた映画でもある。公開当時、映画評論家の松田政男が、延々と続く「インター」の中、ロシア革命が成就していく様にインサートされるW・ビーティ&D・キートンのラブ・シーンに、ハリウッドの商業主義に革命は取り込まれてしまった旨の発言をしていたのが思い出される(笑)。革命的ロマンティシズムに熱く昂揚してしまう第一部から一転、理想社会の更なる実現が、路線対立、セクト主義、非人間的で官僚的なその本質にリードが苦渋していく第二部は、正に社会主義に一度でもシンパシーを感じたものの、離れていった者たちの気持ちを代弁しているかの様だし、今日の社会主義体制を象徴しているが、関心や背景に疎い人達からすると、正直、理解する事自体が苦渋かもしれない。