八百長だ見世物だと卑下されるプロレスではあるが、
観客を楽しませるという部分において、彼らは文句なくプロである。
今作の主人公ランディも、年老いて身体はガタガタになりながらも、
相手の攻撃を受けきるという職人の気質は失っていない。
かつてのスター選手でありながら、身体を医療用ホッチキスでとめられるという攻撃すら承諾する。
目の前で自分の息子ぐらい歳のレスラーが、今の自分では絶対にできないようなアクロバチックな技を展開する。
しかし、そんな若手レスラーも、ランディをプロ中のプロと認めるているからこそ、絶対に尊敬を忘れない。
それは、今も応援してくれる数少ないファンも同じである。
どんなに落ちぶれてようと、どんな場末の会場だろうと、
彼はお金を払って観に来た客を沸かせられる一流のレスラーだ。
ラスト、「もうそのへんにして3カウントしろ」と相手選手に言われるランディだが、
今にも心臓が止まりそうにもかかわらず、彼は観客の望む決め技を選択する。
金銭的にも結婚生活にも失敗し、身も心もボロボロのランディだが、
プロフェッショナルレスラーとして選択した最後のダイブはあまりにも美しい。。。
ミッキー・ロークうんぬんは他の方がたくさん評されているので、譲るが、
一見胡散臭いと言われる「レスラー」という職業を見事に物語にしたスタッフに敬意を表したい。
プロレスにはたとえスター選手であっても、他のスポーツのように指導者で残る道や安定した老後なんてありはしない。
そんなレスラーのたどる行く末を描いたサイン会の描写もうまい。
あのダイビングのあとは映画を観た人に委ねるのもいい。
僕は、切れて辞めちゃったけど、けっこう板についてた接客業で成功し、娘とも和解したと想像している。
悲しい、惨めと評する人が多いが、僕はさわやかな感動を与えてもらった。