「生態経済学者」が活躍史上最大の投資機会を生む
地球環境の現状を詳細に“診断”し、「世界の健康状態はより悪くなっている」と、世界に警鐘を鳴らし続けている。
日本でも、すでに多くの著作が紹介されている。本書で展開される、目指すべき「エコ・エコノミー」も、前著「エコ経済革命」(1998年・たちばな出版刊)で示された未来の経済社会像の延長線上にある。
それを簡潔に言えば「化石燃料に依存した自動車中心の使い捨て経済から脱し、自然エネルギーを基盤とし、鉄道と自転車中心のリサイクル社会を目指せ」というものだ。
ただ、前著と違うのは、エコ・エコノミーに移行する道筋を、より具体的に示そうと試みていることだ。
例えば、前著で「経済学者と生態学者の現状認識のズレをいかに埋めるかが課題」としていた政策論において、「経済学者と生態学者が協力して、環境負荷のコストを計算し、課税すべき」と一歩進め、近い将来「生態経済学者」なる新しい職業が生まれ、活躍すると予測する。
筆者の真骨頂はここにある。競争力をそぐと産業界から評判の悪い「炭素税」さえ、新しい雇用を生むと積極的に捉える。
このほか、新しい職業として、「風力気象学者」「リサイクル技術者」のほか、「家族計画カウンセラー」「自転車機械工」など、その発想は楽しい。
さらに、「環境革命は、産業革命に匹敵する史上最大の投資機会を生む」と言い切り、自然エネルギーや養殖漁業、人工林などに対する膨大な投資の必要性を強調している。
現代産業社会を否定する環境論者にありがちな、環境の時代が強いる不便さや縮小経済に対する「暗さ」はみじんもない。
自然エネルギーだけで生活水準を維持できるのか、移動手段が自動車から自転車に替わって利便性と雇用を保てるのかなど、さまざまな疑問もわいてくる。だが、筆者にこれらの回答を求めるのは適当ではない。筆者は、エコ・エコノミーの創始者であり、“教祖”は細かいことまで気にしないからだ。
(日経エコロジー 2002/06/01 Copyright2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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5つ星のうち 5.0
変わらざるを得ない,
By
レビュー対象商品: レスター・ブラウン エコ・エコノミー (単行本)
著者は、NHKの番組にもなった「地球白書」の創刊者です。現在の経済社会が将来も成り立つわけではないことを、中国を 京都議定書がいよいよ批准されますが、私自身はこの本を読んで、 環境問題に興味がない人にもぜひ読んでほしい本です。
23 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
生き方を変えられますか?,
By よっちゃん (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: レスター・ブラウン エコ・エコノミー (単行本)
現在生活していると自分の周囲のことだけが視界に入ってきて、それがこの世の中の全て、自分の生き方だと信じてしまう。この本は、そういった考えを「コペルニクス的転回」しなさいと言っている。「関係ない」「自分が考えることではない」と言えないことに気付きなさいと言っている。自分しか見えない時に、周囲をみて学びなさい、子供たちのことを考えなさい、ということは難しいが、それを「しなさい」と言っている。考えているだけでは何も変わらない。「生き方そのものを変えられますか?」と聞いている。生き方を変える時の道しるべがこの本にある。
38 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
決定版,
By カスタマー
レビュー対象商品: レスター・ブラウン エコ・エコノミー (単行本)
地球白書(State of the world)を毎年出し環境問題を訴えているワールドウオッチ研究所のレスターブラウンが今後人類が取るべき方向性を示した青写真。アルビントフラー流に言えばの「第4の波」ということになろうか。この本ではワールドウォッチ研究所が誇る詳細なデータをもとに緻密な議論をおこなっている。多くの人がイノセントに気付いていないことなのか気付いていないふりをしているだけなのか、人類の活動による環境へのストレスは限界に達し、悲劇的な結末はすぐそこに来ている。気温の上昇、生物種の絶滅、地下水位の低下、異常気象の頻度の増加、洪水、旱魃、黄砂などのシグナルを自然界は発している。アジアやアフリカでの人口爆発は続くのに、海洋や耕地からの食料生産はこれ以上増える見込みはなく、環境悪化からむしろ減ることが予想されている。しかしメディアは総合的な視点でそれらを報じてはいない。われわれは想像力の欠如から相変わらずの大量生産、大量消費、大量廃棄を続けている。いつでもコンビニに入る弁当の売れ残りはどこへ行くのだろうか?安いマクドナルドのハンバーガーの牛肉はどのようなところで生産されどのように我々の国に運ばれてきたのか?時代遅れのモータリゼーションをいつまで続けている気なのか?いったいどれだけ消費すれば満足なのか?そんななか原子力発電はCO2を出さないエネルギー源であるなどとうそぶくCMがつい最近まで流されていた。(最近見ないがさすがにやめたか?)安田喜徳らが常々訴えてきたように森林など周辺の環境の破壊しつくした文明は必ず滅びてきた。それがこんどは地球規模で起ころうとしている。我々の飽くなき欲求を満たす新大陸(新惑星)は存在しないのである。社会主義が市場の真実をその価格に反映させなかったために崩壊したように資本主義も今度はエコロジカル(生態学的)な真実を価格に反映させていないために崩壊するかもしれない。大規模な食料危機や環境難民の発生、戦争が起こらなければ気付かないのだろうか。生態学者と経済学者が協力してあらたなエコノミーを早急につくらなければいけないとレスターブラウンは訴える。これはエキサイティングな事業である。時代遅れの政府や企業を動かすためにNGOと個人が世界を引っぱっていかなければならない。エコエコノミーのもとでは家族計画プログラムのもとで人口の安定化がなされ、シンプルな生活を基本とし、過去に地球に降り注いだ太陽エネルギーである化石燃料に変わり現在の地球に降り注ぐ太陽エネルギー(ソーラー、風力)などからソーラを利用した水素型経済によるものになる。森林の生産機能や様々なサービス(生物の住処としての役割、地球的な水循環や気候の安定化に果たす役割)なども正当に評価されなければならない。模様眺めの時間は無いが改革断行の時間はある。圧力は限界に達している。東欧における政治体制の変革、アメリカで禁煙、インターネットの爆発的な普及のようにエコエコノミーへの移行は一気に起こるだろうしそうでなくてはならない。この本に言いたいところがあるとすれば、この本はあくまで人間の視点からの主張であり地球を共有する他の生き物たちの視点が欠けているという点であろうか。
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