本書は現在の化石燃料依存型でクルマ中心の使い捨て経済から、
再生可能エネルギー減に基づく新しい経済モデルへの切り替えを訴えるものである。
人類全体の需要が初めて地球の再生能力を超えたのは1980年ごろだとされている。
それまでは森林、漁獲、地下水等地球上にある自然資産そのものに関して、
いわば資産が生む利子を消費していたにすぎなかったが、
1980年頃以降は資産そのものを消費するようになったという。
その先に衰退や崩壊があるのは当然である。
本書にはその典型的な事例が紹介されている。
それは、第二次世界大戦中にアメリカの沿岸警備隊が、
ベーリング海の孤島のセント・マシュー島に配属されていた警備兵19名の非常用食料として、
その島にトナカイを29頭連れてきたことを発端とする。
大戦後その基地は閉鎖され、警備兵は島を去った。
その後、1957年に生物学者がこの島を訪れていた時は、
トナカイが1350頭に増えており、続く1963年には6000頭に増えていた。
しかし、1966年の島には、トナカイの骨がごろごろ転がっており、
生き残ったトナカイは50頭いなかった。
そして1980年ごろまでに絶滅したという。
このセント・マシュー島におけるトナカイの運命が、
現在の地球における人間の運命を示唆していることを、
もはや否定できるような現状ではなかろう。
こういったことが書いてある「はじめに」は感動するくらいであるが、
本書の中盤は食料のありとあらゆることにかかわるデータの羅列から同じような話が展開されるので、
事例研究の豊富さという意味では圧倒されるが、
やはり飽きがくる。
また様々なデータや見解が引用されるわりには、
典拠は図示したグラフのみしか表記されていない。
まあ翻訳書であり、監訳者によると可能な限り短くしたとのことなので、
仕方ないことではあるが、
本の性質を考えると、なんかちょっともったいない感じがする。