一読者の感想として思わず筆をとりました。
確かにすごく分厚い本ですね〜!本のボリュームが多いことについては
感染症にそれほど興味のない読者には最初、忍耐力を必要とするのかもしれません。
しかし昨今の感染症診療教育の充実化に伴い、学生レベルでの理解や認識も
数年前とは違い飛躍的に上昇してきています。
その意味では「レジデントの為の」としては適切な分量ではないでしょうか。
数年前の現状と現在を比較して、これだけ一版と二版でのボリュームが
変わったのは恐らくそのような背景を加味されてのことでしょうか。
本書の類書にない特徴的な点についてのレビューコメントも多かったので、私も一言。
日本では扱われていない抗菌薬の記載については、難しいところですが
感染症診療の原則に基づく適切な抗菌薬といった観点から敢えての記載と想像されます。
また、将来的に認可されるべき重要な抗菌薬はこれであるべきという
文底の意味なのかもしれません。
日本の感染症診療の現実にも精通しておられる氏だからこその卓見と思います。
1日4回の点滴は、理解がない施設では
コメディカルの協力が得られないこともままあります。ただ、
患者にbenefitをという観点での適正使用という基本的な観点で話せば、
多くの患者・医療者であれば協力は十分に可能ではないでしょうか。
私は実際にそのように行動していますし、他院の多くの同僚もそうと聞いています。
日本に和書としての臨床感染症のゴールドスタンダードがない現状を鑑みて
よりよい臨床感染症の普及を、と長年ご尽力されてこられた青木医師が書かれた本書。
読んでいると、次世代のためにこれだけは伝えたいという氏の渾身の気迫と信念、
そして後進への溢れる愛情がにじみ出てくるような気がします。
また、母国語であり、豊富な具体例や迫力ある雰囲気とともに
感染症の理解が実感をもって容易になる、
その意味ではReese&Bettsやマンデルとは位置づけを異にするのではないでしょうか。
感染症とは切り離せない総合内科的な視点も
ふんだんに盛り込まれているのも本書の特徴です。
私も第一版からのファンですが、
不明熱へのアプローチなど、研修医時代に初めて目にしたアルゴリズムは
今も鮮烈に頭の中に息づいています。
全体を通し、仮にこの本が(他のコメントにあったような)怪書という位置づけであれば
少なくとも私も含め、一版から受け継がれている臨床感染症のプリンシプルに基づいて
多くの医師たちが実践してきた感染症診療を否定することになります。
しかし、本書の原則論に基づいた診療は一人一人の患者のアウトカムという
かけがえのない臨床実績、そして感染症教育の気運の盛り上がりと共に
次第に確立されつつある感がします。
その意味でも、本書は日本の感染症診療の金字塔に相当する内容と考えます。
皆様、いかがでしょうか。