ロードレースファンにとって,エディ・メルクスは説明無用である。彼の全盛期のローレース界は,プリドールやズートメルクら名選手をもってしても「メルクスとその他の自転車選手たち」と大げさでなくいわれる程,孤高の存在だった。
そのメルクスが,ライバルとして認めたオカーニャ。彼の中に「ライバル」という文字があったことに驚いたが,確かにオカーニャの実力は,メルクスに警戒心を抱かせるに充分であったことは,記録からも分かる。お互い絶好調での対決が実現していれば,ツール史の様相は多少変わっていたかもしれない。
オカーニャの才能は,メルクスの巨光すら翳らせてしまうほどの閃光を放っていたが,才能のありすぎる者というのは早熟・短命であった(オカーニャの場合選手生命だけでなく)。
と考えると,確かにメルクスの才能は,それこそ桁外れだったとは容易に想像できるが,それ以上の「強さ」があったのではないかと思う。ぶっちぎりでゴールしても酸欠で倒れるようなレースに顕れているように,自分を追い込んで追いつめる戦い方ができた選手だったのだ。
ツール5回,ジロ5回,世界選3回,ダブルツール3回,トリプルクラウン1回,ツール・デ・フランドル2回,ミラノ・サンレモ7回,リエージュ・バストーニュ・リエージュ5回,パリ・ルーベ3回・・・これが,たった一人の選手の戦績の一部であることに,素直に溜息が出てしまう。
近年のロードレースDVDよりも,見応えのある内容です!