「レコード」と言うことば、それを再生する機械をさすことば、じつはなかなか悩ましい。日本語には「蓄音機」という見事なことばがあるが、どうしても「SP盤時代のレコードプレーヤー」と言うニュアンスがついてしまう。
さて、この本はその「レコード」及びその再生装置の歴史を、ハード・ソフトの技術の発展、クラッシク音楽の「レコード」のレパートリーの発展を両輪に、社会史的・文化史的な側面への目配りをもって書かれた好著である。初版がロックンロールが生まれた(と通例言われている)年の翌年の1955年、改訂版がステレオ化という大きな事件を挟んだ後の1976年、それでもデジタル時代はまだ先、という古い本ではあるが、複製技術の音楽文化に与えた影響を考える際に基本となるような歴史的な事実が活き活きと述べられており、ドキュメンテーションとしての価値は失われていない。
おすすめです。