全米映画の特集番組で存在を拝見。あらすじに興味を引かれ、面白かったらDVD購入も考えてレンタルで鑑賞した。しかし、その内容はと言えば、神や天使の名前を出しておきながら、なんとも味気ない物だった。
大まかな内容としては、争いや諍いを繰り返す人間に失望した神が、天使や、その尖兵を使って、人間を滅ぼそうとするという物。しかし天使の中で一人、大天使ミカエルだけは、人間の可能性を信じ単身人間を守ろうと奮闘します。
こうして見ると、ミカエルが、天使の大軍団に挑んでいく、壮大な物語のように感じるが実際の所はそんな物語ではない。しいて言うならば『ゾンビの群れを天使の尖兵に置き換えたサバイバル映画』といった感じだ。
まず第1に、ミカエル自身が天使としての能力等を行使する事が出来ず、スペックが人間使用となっている為使用しているのが、普通の銃火器。
そして第2に天使の尖兵となっているのが、心身を乗っ取られた人間たちの集団だという事。
そして第3に多数の正常な人間が特定の場所に閉じ込められているというシチュエーション。
これらを踏まえて考察すると、孤軍奮闘するミカエルは事件の発端を知る軍人かぶれ、天使に乗っ取られた人間は、大量のゾンビ、そして正常な人間たちは、事件に巻き込まれた被害者といった感じに、まんまゾンビ映画のシチュエーションとして置き換える事が出来る。
無論、話全体の纏まりは有るし、それほど荒唐無稽な結末でもない。単なるエンターテイメント作品としてはB級映画としての見解ならば『良作』といった所だ。
だがしかし、勿論の事、不満な点も多い。ここからの不満点については、神々や、天使の世界について、かじった事の有る人特有の物であると思うので、あまりそう言った世界観に関しては気にしなくても良い。
まず第1に、天使の世界観的に反逆者がミカエル、そして、神の指示により、ミカエルと人間たちの淘汰を命じられたのが、同じセラフィム(天使の中の最上位階級)のガブリエル。しかも、ガブリエルの姿は男だ。
ミカエルは、天使の最上位階級、セラフィムの指揮官の一人であり、天使長でもある。さらに『神に最も近き者』としての称を持つ天使だ、そしてガブリエルは天使の中で唯一女性としての姿で伝えられ、聖書の種類によっては『暗黒の天使』として描かれる事も有る。
こうした背景を見ると、ミカエルはどちらかと言えば、人間を淘汰すべき側で描かれた方が真実味が有っただろう。そして人間側に付くのがガブリエルやウリエル等、暗黒の天使として描かれる者や、もしくは、最終的にミカエルが神に許しを得る展開から考えれば、一度天使の身から悪魔に堕ち、その後神の慈悲により天使へと戻るルシファーあたりでも良かったやも知れない。
こうした点は過去の映画では『コンスタンティン』等では、中々忠実に再現されている。もし神々の戦い、と言った感じの映画を見たいのなら、そちらにすべきと言えるだろう。
そして、第2に、上記でも述べたが、天使や神様らしい戦いが感じられない。
冒頭でミカエルが、自らの翼を切り落とし、人間へと堕ちる様は描かれているので、人間として天使と戦うんだなーって事は予想は付きますが、本当に最後の最後まで、天使同士の戦いと言った場面は描かれません。ガブリエル自身も終盤には自ら出陣してくるのですが、なんというか、力押しの戦闘シーンです。まず羽がメタリック仕様。人間の銃火器が天使に効かないという設定は良いのですが、あんなに軽快な金属音を出して弾かなくても良いと思う・・・
さらに彼の持っている武装。棍棒に棘のはえた様なものだったのですが、その武器の柄に付いているボタンをポチっと押すと、棘の付いた先端部分が回転するギミック付き・・・今さら子供でも喜ばないって。
力押しの戦闘シーンでも良いのですが、もっとこう・・・『見えざる力』みたいな演出が有っても良かったものだ。
これらの意見を踏まえて、総評としては
・まず、DVDを購入するほどの優良作ではないと言える。それでも購入を考える人は、必ずレンタルをしてから考えよう。
・ゾンビ映画を好きな人なら、展開には飽きてしまうかもしれない、コテコテすぎる。数人の登場人物と、大量の敵。敵の罠に嵌り、少しずつ追い詰められていく主人公たち・・・という感じだ。
・神々や天使の世界観。黙示録などを再現した叙事詩てきな映画をお望みなら、迷わず『コンスタンティン』や『リーピング』などを見る事をお勧めする。
神様の存在などを全面に押し出した映画は、視聴者の見解や、理解度の深さによって面白さが各人によって格段に変わる事が有る。自分がどういった映画を見たくて、この作品に目を付けたのか、よく考えてから、購入を選びましょう。