田中茂範先生が講師を務めた2006年のNHKテレビ英会話と英文法口座には、当時その革新的なアプローチに深く感銘を受け、今もテキストは手元においているが、本書は英文法の観点からそれを体系的に書き下ろした内容になっている。
「レキシカル・グラマーへの招待」というタイトルの通り本書は純粋な英語学習本ではなく、英語の教育者と学習者の双方に対して、レキシカル・グラマーの旧来の学校英文法の優位性を説明する体裁を取っているため、田中先生の他の文法書に比べて学術的な内容が含まれており読みづらい部分もあるが、自分自身は単純に英文法の学習書として利用し、非常に有益であった。
レキシカル・グラマーという言い方は聞き慣れないが、そのアプローチ方法は、have、be動詞、get、makeといった動詞、toやwithなどの前置詞、そしてwill, can, shouldなどの助動詞といった、何れも英語においては基本的な語彙の本来的な意味(本書ではこれをコアと呼ぶ)を理解することにより、これらの単語を使用する「現在完了」「使役」「進行形」といった英文法の本質を理解することができ、そしてそれを使いこなすことができるというものだ。
このように書いてもなかなかイメージがわかず難しい印象を与えてしまうかも知れないが、実際は非常に感覚的かつ納得しながら英文法を学ぶことができるすぐれたアプローチだと思うので、英文法に興味がある方には強くお勧めします。ただ前述の通り本書は少し内容が固いので、英語初心者の方は田中先生の他の文法書の方がいいかも知れません。特に冒頭の総論編は英語教育者向けの難しい内容なので、通常の学習者はそこはとばして17頁以降の事例編から入る方がいいと思います。
自分は朝の通勤時間を利用して2回読み返しましたが、意外な難点は英文法学習書としてはとっつきやすいので1回読んで理解したつもりになっていても、2回目を読んでみるとコアイメージなど結構忘れているという点でした。自分の年のせいかも知れませんが、本書は何度も読み返してきちんと自分のものとしたいと思っています。