「この時期に出すのは反則だよなあ」と思いつつ買ってしまった。
中身は気鋭の学者2人による個別の論考で、
文庫ならではのスピード感でレオナルドの『受胎告知』を分析している。
前半にある岡田氏の論考は受胎告知の意義付けから入っているので、
全くこの画題の意味を知らない人でも理解できる構成になっている。
池上氏の論考は斬新な切り口でとても興味深いものに思えたが、
残念ながら末尾にあるとおり「推論の域を出ない」ところで終わっている。
今後の研究に期待したいところだ。
本書にはそれぞれの章の末尾に参考文献が数多く挙げられており、
さらに深い学習に向かうことができる配慮がなされている。
文庫や新書にありがちな「その場限り」という感じはしない。
類書を読む前の入門書として最適ではないかと思う。