今でも僕は、‘86年の彼らのこの3rd作が、ヘヴィメタル史上、いや、ロック史上最凶のアルバムだと信じている。
勿論、本作リリース後にも、ここに収められた内容、すなわち凶暴性やスピード、ヘヴィネスを更新すべく登場したアーチストや作品は五万とある。
しかし、あくまでも、それらの源流はここにある。
パンクであれメタルであれ、それらを内包する現代エクストリーム・ミュージックの根幹には、必ずこのアルバムの存在があって、これ抜きにしてはその後のムーヴメントを語ることはできないと思うのだ。
本作がリリースされた頃は、スラッシュメタルというものが、より高度な音楽性を搭載しようとしていた時期である。
歌えるシンガーを前面に押し出したANTHRAX、究極のテクニカル路線のMEGADEATH、そして、ドラマチックな叙情性と圧倒的な構成力でたたみ掛けるMETALLICA・・・
そういった、メタルの新しい可能性を模索していたライバルバンドたちに対し、SLAYERが取った方向性は、ベノム的ブラックメタル路線を継承する彼らのベーシックなスタイルを、更に強度の高いハードコアへと向かわせることであった。
スラッシュ史上最速と当時言われていた「CHEMICAL WARFARE」など、一瞬にして霞んでしまうような作品群。
それを目指して作り上げられたこのアルバムは、過去の彼らの作品を遥かに凌駕するポテンシャルを有し、それまでの帝王であったベノムを蹴落とし、新たにその称号をかち取ったものなのである。
とにかく、ここで僕がごちゃごちゃと御託を並べるよりも、これはもう、聴いてもらう以外にない。
エクストリーム・メタルが好きな人だったら、絶対に聴くべき、そして必携のアルバムだ。
因みに、他のレビュアーの人も書いていたが、ボートラ2曲は蛇足以外の何ものでもない。「RAINING BLOOD」の後の「血の雨」のSEが台無しになってしまう(LPレコードの時は、この血の雨、針が上がるまで鳴りっぱなしだった。この雰囲気は、CDでは絶対に出せない。本作は、アナログ盤で聴くのがベスト、という作品のひとつにもなっていると思う)。