興味深いのは、2030年から53年における「通信」「病院」「警察」などの社会設定を、アニメ雑誌やインターネットを使って一般読者から公募した点だ。作品中の「形状記憶植毛」や「伝書鳩」などは読者のアイデアが採用されたものだ。巧緻なプロットとロジックを縦横に操り、読者を魅了してきた京極は、ついに読み手をも作品世界に巻き込んで壮大な「仕掛け」を完成させた。20世紀末を生きる人々の心の内を映しだした近未来の姿は、20世紀末という時代が抱え込んだ命題をより鮮明に浮き上がらせるための「大仕掛け」だ。
また、フランス語で「狼憑き」を意味する表題に象徴されるように、妖怪や化物との関連が見て取れる点もファンにはうれしい。フランスでは、1764年に14~15歳の少女が狼と思しきけものに惨殺されたのを機に、3年間で80人の子どもと女性が殺されるという「ジェヴォーダンのベート」という事件が伝説化している。中世ヨーロッパの狼伝説をよみがえらせ、あえて近未来へと舞台を移し変えた京極は、危険にさらされている現代の子どもたちへ警鐘を鳴らしているのかもしれない。(中島正敏)
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舞台が未来になっても京極は京極でした。
読者の声を反映させた未来像だったらしいですけど、
現実味があるようなないような、不思議な未来で
想像力を程よく刺激されて、楽しめました。
作中にあげられる議題や思考もやっぱり京極って感じで
妖怪以外でも彼の作品は面白い!と改めて感じられました。
彼の作品を読んだことない人でも十分楽しめるかと思われます。
かなり長いですけど、価値アリな一冊です(・∀・)
後半からのアクションなどとても良かった。
ただし、この小説はかなり分厚い、そして押し絵一つもない。
この様な小説では長文が苦手な人にはおすすめできません。
今まで当たり前に感じていた事が、どれだけアンバランスな価値観だったかを気付かせられました。
心に残るような台詞がたくさんあります。
好みは分かれてしまうかもしれない作品ですが、とりあえずお勧めです。
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