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ルール (集英社文庫)
 
 

ルール (集英社文庫) [文庫]

古処 誠二
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

終戦間近のフィリピン戦線。鳴神中尉がそこで見た“地獄”とは? 小隊は任務を遂行して生還することができるのか? ギリギリの極限状態で試される人間性を鋭く描く、衝撃の書き下ろし問題作!

内容(「MARC」データベースより)

終戦間近のフィリピン戦線。鳴神中尉率いる小隊の敵は、アメリカ兵でもゲリラでもなく、「飢え」だった…。メフィスト賞を受賞して注目を浴びた著者が書き下ろす、「若い世代のための若い世代による」新しい戦記文学の登場。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 320ページ
  • 出版社: 集英社 (2005/7/20)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4087478378
  • ISBN-13: 978-4087478372
  • 発売日: 2005/7/20
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 135,684位 (本のベストセラーを見る)
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形式:文庫
終戦間近のフィリピン戦線、灼熱の中行軍を続ける日本軍。彼らの敵は灼熱でも、連合軍でも、病でもなかった。彼らの真の敵は飢餓だったのである。

本書は、戦争によって極限状態におかれた人間の行動を描いて戦慄を呼び起こす。人間としての尊厳、倫理や道徳といった最低限のルールがあり、人はそれを本能的に尊重するように生まれてきているものだ。禁忌を犯すことに対する恐れは誰の心にでもある。しかし、その禁忌を犯させてしまうほどの状況が現出する恐怖よ。

戦争の罪は広範囲で、その影響は計り知れない。戦争はあらゆるところに入りこみ、その忌まわしい毒牙によって関わったすべての人に一生癒えぬ傷を残してゆく。ただ生きるためだけに、生きたいがためだけに、どうしてこれほどの選択をせまられなければいけないのか?いったい何のために生きるのか?そこまでして生きるのが正しいことなのか?

本書を読んでる間中、堂々巡りのような問いかけが始終頭にあった。

自分ならどうする?もしこの状況におかれたら、ぼくならどうする?

食うのか?やっぱり生きるために食うのだろうか?

平穏な毎日では、決して表出することない問いかけが頭をかけ巡るのである。

極限状態の人間心理と尊厳を保つ最低限のルールを天秤にかけて、物語は淡々と語られてゆく。淡々と、静々と、ことさら煽りたてることもなく堅実に歩調を乱さず。この現実感をどうか味わって欲しい。フィクションではなく、リアルに感じて欲しい。かつて、誰かが経験したであろうこの地獄をどうか体験してみてほしい。そうすれば、世界の見方が変わるかもしれないから。
このレビューは参考になりましたか?
8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By minami19 VINE™ メンバー
形式:単行本
人として生きる上で守らねばならない「ルール」。
それは決して破るべきではないもので、
それを破ることは、「人として生きていくこと」を
放棄することにも繋がる…

淡々と。どこまでも冷静に極限状態の人々を描く。
その筆致により、その想像を絶する凄惨さ、過酷さが一層際立つ。
まだ若い作者(1970年生)が、このような戦争小説を

発表したことに、驚きの声があがったことも理解できる。

「戦争小説だから」「救いの無い話っぽいから」などと
頭から否定せず、是非読んで頂きたい作品。

このレビューは参考になりましたか?
15 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 福井晴敏絶賛、と文庫本の帯に書かれていたが、分かる気がする。追いつめられた状況を淡々と克明に書いている古処誠二。どこか共感できる節があるのだろう。ただ、古処誠二はエンターテインメントを書いているわけではないだろう。

 太平洋戦争末期の日本。いつ降伏してもおかしくない状況にいた。フィリピンのルソン島で、鳴神は和泉に小隊の隊長としてゲリラが出没する地域での物資輸送を命じられる。ただそこに待っていたのは飢えるか植えないかの現状。マラリアにも感染し、限界点に近づく中、一人の兵士が米軍機を撃墜した。落ちてきたアメリカ人パイロットと遭遇し、捕虜として連れて行くことになる。

 書きたかったものは極限状況の人間。前にも書いたがエンターテインメントの作家でないのは読んでいて明らか。とにかく重たい。それほど分厚くないのだが、やけに密度の濃い内容だったか。読んでいて、文字を追うのが辛くなる。

 実際経験して来たものは本作に書かれている以上のものだったかもしれない。苦痛を遙かに通り越した苦痛。飢え。幻覚。死への恐怖というものではないかも知れない。そんなものを知らないし、経験したくもないが、60年前、確かに日本の誰かが経験していたことなのだろう。。だからこそ、ショックが大きすぎるのか。

 メインの鳴神、八木沢、姫山、そしてアメリカ人パイロットのオースティン。彼らの生への執着。こんなところで死なないために。出来れば兵士なら兵士らしく死ぬために。ここまで酷だったという悲劇ではあるものも、体をボロボロにしてまでもルールの基に生きることをやめなかった男達のドラマとも言える、のではないか。

 オースティンは目の前の状況を見てただ困惑する。人間であって、人間でないものを見ている。戦争での死は、戦場の死だけではないということの現状を。今ではやはり考えられないだろうから、か。オースティンの視点は、今を生きる自分たちの視点ともダブるかも知れない。それだけ、書かれている事は想像を凌駕している。そういう意味で、ただ出くわしただけでなく彼の存在は大きいと言える。

 後半分かり始めてくる事実は重たく、そしていかに自分たちが軽く見られていたか。あまりに無力だったというか、残るものがないというか。それが戦争というもの、敗戦という事実でもあるのか。最後に多少のどんでん返しがあるものも、それはタイトルである「ルール」の意味を示すためでもあるはず。姫山の最後の一言がとにかく重い。淡々と書かれてあるから、余計にその重さがひしひしと伝わってくる。

 やはり、今だからこそ読むべきか。読み通して欲しいと思う。

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