二階堂黎人と千澤のり子の合作による長編ミステリ。
失踪したルームメイトの捜索依頼を受けた私立探偵・桐山は、細い糸をたどりながら探索を続けるがそこには意外な事実が・・・という話。謎解きという意味でミステリであるといえるが、本格というよりはかなりサスペンス系な内容だ。社会派ミステリの香りもして、的が絞りきれてない感が強い。
主人公の行動がある意味現実離れしたムチャな行動ばかりに見えるのと、出てくる関係者の面々がこれまたとんでもない人物ばかり(読んでいてこいつら大丈夫か?と心配になること多々)という現実感のなさ。調査が行き詰るとひょんなところから出てくる新しい手がかりとか、大ピンチの主人公たちは超ラッキーな僥倖により助かったりとか、かなりご都合主義な雰囲気もちらほら。
文章的には、これは二階堂の特徴でもあるが(しかしこの作品は合作のはずだが)、主人公も含め、妙に説明口調の会話&地の文が目立つのが(本作は特に)気になる。一方でノウタリン系の登場人物の台詞や合いの手は、あまりにも中身がばかばかしいものが延々と続いていて真剣に読む気がうせるのだ。
エピローグもあまり意味なく妙に長いし、文庫で全体で500ページもある割には中身が薄い気がする。合作による執筆だとそれは難しいのかもしれないが、なんとか半分くらいの分量に刈り込んでしまったほうが良かったんじゃ。あくまで書きあがった作品の出来で勝負するつもりなら、合作したから薄くなった、では合作という手段を選択する意味がない気がする。
少なくとも、水乃くんが出てきたくらいで喜んでちゃいかん。>自戒