ライブ会場とdisk unionのみで売られていた5曲入り『ループする』に、「できない」と「夜明け前」の2曲をプラスしての全国流通盤『ループする』。
シンプルなロックサウンドでいながらエッヂの利いた各パートのアレンジが秀逸。静と動、緩と急、ことに間の取り方、空間の切り取り方が巧みで、ずばり見事だと言うしかない。
ボーカル内田万理の紡ぐメロディと詞はオリジナリティに溢れ、歌声はイノセントに激情し、的を射るフレーズを一度耳にしたなら、それは文字通りループする。
粒立ったメリハリのある音の感触は日本人に耳馴染みの良いシティ・ポップスの枠組みに相違ない。
個人的には、80'フレーバーなシンセ音と、時にシーケンス制御されたかのようなタイトなスネアとハイハット、鋭角に刻むギターリフと、メロディックなベースラインのアンサンブルに、どこかNew Orderっぽい雰囲気を感じたりもする。
もともと完成度の高いアルバムだった『ループする』だが、追加された2曲(これがまたカッコいい切り札(オルタナ・ギター・ロック)を出してきた!)によって2010年を代表する傑作になったと思う。
このアルバム、無名アーティストにしては音が良く、クリアに纏まっていて、とても素人仕事とは思えなかったのだが、レコーディング/マスタリングがROVOの益子樹と知って納得した人も多かったのではないだろうか。
「マイアミ」のイントロを聴いた人なら少なからず、益子の携わっていたスーパーカーの「Strobolights」を想起したと思う。その点にピンと来た人なら、本アルバムの音の信頼度は高いと言っていいだろう。とは言っても、ふくろうずはあくまでバンドサウンドなのであしからず。
ふくろうずの曲をはじめて聴いたときの僕の印象は、どことなく相対性理論のよう、だった。
それは、理論の1stにあったニューウェーヴ感、気だるげな女性ボーカル、そして男性コーラス(こちらは程好く、時にはツインボーカルになる)、といったいくつかの要素がそう感じさせたのかもしれない。
しかし僕にとって相対性理論の曲が白昼を感じさせるのに対し、ふくろうずのそれは決まって夜だ。
ポップでありながら、どこか暗さを感じさせる楽曲たち。
名は体を現し、陰の差すラブソング。
ふくろうずが歌うのは、トワイライトの街灯りに照らされた取り留めのない、切実な想い。
そして誰もが知っている、無垢でイタイケでプリミティブに揺れ惑う、いつかのあなたの恋の歌。