20世紀初頭に貴族として生まれたヴィスコンティにとって、この世はなかなか生きにくい世界だったのではないかと思われます。 簡単に言えば生まれてくる時代を間違えたー、あるいは自分はこの世にうまくフィットしないーということではないでしょうか。 無論そんな思いを抱きながら生きている現代人だって多いはず。 ルードヴィヒは恐らくそういった人間たちの王様的人物でしょう。 普通人とは比べものにならない富と権力の持ち主、芸術かぶれのルードヴィヒは、自分だけの芸術的幻想の世界に生きようとします。 しかし、彼は決して芸術家ではないー、あくまで芸術愛好家、ディレッタントに過ぎません。 やがて、そんな境遇にも安住できない自分に気付くのです。 彼をいいように食い物にするワーグナーが出てきますが、そのふてぶてしさと逞しさはホントに見もの。
ヴィスコンティ自身は本物の芸術家でディレッタントではないのですが、この人物を描くことに異様な執念を燃やしていたことを考えてみても、やはり気持ちの上で通じるものがあったはず。 やがて死を選ぶルードヴィヒが、自分は誰からも理解されなくていいーというくだりは悲しいです。 この作品は本当に残酷で冷徹です。 そしてヴィスコンティの悲しみが伝わってくるようです。 是非見てください。