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ル・コルビュジエを見る―20世紀最高の建築家、創造の軌跡 (中公新書)
 
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ル・コルビュジエを見る―20世紀最高の建築家、創造の軌跡 (中公新書) (新書)

越後島 研一 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

ル・コルビュジエのお洒落で格好いいイメージは、建築専門誌以外でも特集記事が組まれることが多く、広く知られている。いったい、彼の建築のどこが人々を魅了するのか。本書は、彼が遺した膨大な作品群の中から初期のサヴォワ邸と後期のロンシャン教会堂という「世紀の名作」を軸として、この二つの建築物の新しさ・美しさはどこにあるのかを解き明かしつつ、一人の建築家の足跡と、日本の建築家に与えた影響を探る。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

越後島 研一
1950年(昭和25)、神奈川県に生まれる。早稲田大学理工学部を卒業後、東京大学大学院博士課程修了。工学博士。越後島設計事務所主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 則ちは様式化の美学の極, 2007/9/19
 専門ではないので、建築家の名前ならまずはアントニオ・ガウディ、
フランクロイド・ライト、日本人なら丹下、清家、安藤あたりがメジャーな
ところ。申し訳ないが、ル・コルビュジエの名は、今年に入ってから知った。
その評価の高さに驚き、写真集などを見てみたが、彼の作品のどこが面白いのかが
ド素人にはまったくわからない。バラカンの方がまだ直球。
 困って手に取ったのが、本書だった。

 建物の柱と梁を石にしたのはローマ時代に遡るが、その時代、屋根と壁は木造だった。
欧州の建築物の基本は全て石造り。切り出した石あるいは煉瓦を積み重ねる事が
建築の基本構造であり、それはガウディと言えど同じこと。
 コルビュジエは、建築を、床とそれを支える柱という「ドミノ」に集約し、
直方体を基本とする現代建築の基本構造を確立した、いわば現代建築の始祖であり、
同時にその直方体を、さらに独自の概念と美意識で展開させて極みに到達させた。
それが、彼を19世紀初めの建築界の核とし、頂点とした所以でもあることを、
本書は彼の作品を年代別に紹介しながら丁寧に説明している――若干乱暴な端折り方で
申し訳ない。
 専門的な説明にも手を抜いていないので、コルビュジエ入門書としてはちょうどいい
のではないかと思う。

 ガウディは、その独創性で類を見ない天才であることは間違いない。だが、
彼の建築を模倣する事は誰にも出来ない。対してコルビジュエは、建築に、汎用性と
コストダウン、施工の迅速化を成した点から、建築史への貢献は計り知れない。
だからこそ、彼はまず同業者に高く評価され、追従者と多くの模倣を生み出し、
それを喜びさえしたのだろう。そういうことを考えながら、本書を読み進んだ。
 サヴォア邸、救世軍本部、ロンシャン教会堂については写真集でさらに詳しく
見てみたい。そしてできれば実際に行ってみたい。「空間」を強く意識した彼の作品は、
見るだけではなく、彼が生み出したその「空間」の中にたってこそ初めて実感できると
言うのが、本書の一貫した姿勢でもあるからだ。
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 百聞は一見にしかず, 2007/9/19
By yk (東京都世田谷区) - レビューをすべて見る
著者は卓越した記憶力に支えられた構想力と表現力で,本質的に空間的な存在である建築を平易な言葉で解き明かすという困難な仕事に果敢に取り組んでいる.

ひとことでいえば,これはル・コルビュジエのどこがなぜそんなに凄いのかを,16ページのカラー口絵を含め新書には珍しいほど膨大な写真と文章で表現している本.

第1章 革新では1931年のサヴォワ邸まで,
第2章 変貌では第2次大戦末まで,
第3章 成熟では戦後をロンシャン教会堂まで,

とル・コルビュジエの生涯を3つの期に分けて作品を解説,最後の

第4章 日本への影響

では前川國男,丹下健三,安藤忠雄,伊東豊雄ほかの建築家への影響がまとめられている.

建築界の巨人を讃えるだけでなく,その作品の問題点もきちんと指摘しているのは立派.
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2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 本書→『現代建築の冒険』, 2008/4/23
アートとしての建築が注目されていることもあり、建築の入門書というのはちらほら見かけるが、いずれも用語などが日常的でなく難解であり、かつ体系的知識を習得できるものは少ない。著名な五十嵐太郎氏や飯島洋一氏の著書にもそのような傾向が見受けられる。こうした傾向が全くないとはいえないが、越後島研一氏の著書は他の入門書に比べればまだ親しみやすく推奨できる。『現代建築の冒険』は1930年代以降の日本の建築の歩みをその形態面に注目しつつ解説したもので、形態の変化を通して主要な建築家の軌跡を知ることができ、興味深い。個人的にこの本の内容は、『現代建築の冒険』に引き続き期待を裏切らないものであった。
この『ル・コルビュジェを見る』は、幅広い傾向の作品を遺したル・コルビュジェ(1887〜1965)の軌跡を追いつつ、建築を考える際の基本事項である「建築形態とは何か」「空間とは何か」といった事柄、また日本の建築家に与えた影響について解説したものである。
20世紀最高の建築家ともいわれるル・コルビュジェの偉業は初期の「サヴォワ邸」(1931)と後期の「ロンシャン教会堂」(1955)に集約される。この二つは大きく傾向が異なるが、このように傾向の異なる作品を生み出し、かつ「世紀の名作」とした点に彼の偉大さがあるという。ではなぜ二つながら「世紀の名作」となったのか、これはサヴォワ邸の発表直後に作風を転換したためだという。
全体はこの前書きの主張にしたがって、時系列に沿ってル・コルビュジェの作品群を写真と文章で眺めていくというスタイルである(巻頭に重要作品のカラー写真あり)。手頃で廉価なガイドブックとなっており、写真中心のガイドブックでは得ることが難しい各作品の意義についても知ることができる。ただ、情報量が多いためここでは逐一その内容を紹介することはできない。
第一章では1920年代を通じての「白い箱型」という幾何学的な新しい建築形態の追求からサヴォワ邸に至るまでの過程を扱っている。振り返って見るならば、サヴォワ邸の成立は決して天才的な飛躍の産物ではないという。
第二章は雨漏り、均質な空間の追求による用途の制限というサヴォワ邸の持っていた問題の解決から作風の転換に至った経緯について触れている。サヴォワ邸という創作上のピークは、同時に「白い箱型」の行き詰まりの始まりでもあった。ル・コルビュジェは作風の転換を不自然で突然変異的なものではなく、それまで積み重ねてきたものを基盤として行った。天才の創造力の中身はひらめきからは程遠い、具体的な試みの積み重ねであるという主張がここでも繰り返される。
第三章は晩年の名作について。ル・コルビュジェが最初期から一貫して保ち続けてきた特徴の上に1950年代以降の多彩な作品群があると述べている。扱われる代表作は大きく分けて三つである。まずL字と逆L字というリズムを持つ集合住宅の名作マルセーユのユニテ(1952)、次いで荒々しく強力な造形効果が彼の作品随一ともいえるインドのチャンディガール議事堂(1962)、そして抽象彫刻的でサヴォワ邸とは一見正反対ともいえるロンシャンの教会堂(1955)である。
第四章は日本への影響について。「ル・コルビュジェからの影響」が日本の近・現代建築を貫く一本の軸であることに触れ、日本の近代文化の特徴を具体的に考える糸口となることを確認する。個人的にたいへん興味深い章であるが、例により情報量が多いためその詳細は割愛する。より最近の作品がとりあげられていることもあり、同氏の『現代建築の冒険』を読む前にこの章を読んで日本の現代建築の流れを概観しておくとより理解が深まるかもしれない。
最初にも述べたことであるが、建築形態や空間について説明した文章は建築の門外漢にとっては決して理解しやすいとはいえない。一読しただけて意味を読み取るのは容易ではない。とはいえ文章は悪文ではない。手元に置き、何度も読み返す価値のある一冊といえるだろう。
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