専門ではないので、建築家の名前ならまずはアントニオ・ガウディ、
フランクロイド・ライト、日本人なら丹下、清家、安藤あたりがメジャーな
ところ。申し訳ないが、ル・コルビュジエの名は、今年に入ってから知った。
その評価の高さに驚き、写真集などを見てみたが、彼の作品のどこが面白いのかが
ド素人にはまったくわからない。バラカンの方がまだ直球。
困って手に取ったのが、本書だった。
建物の柱と梁を石にしたのはローマ時代に遡るが、その時代、屋根と壁は木造だった。
欧州の建築物の基本は全て石造り。切り出した石あるいは煉瓦を積み重ねる事が
建築の基本構造であり、それはガウディと言えど同じこと。
コルビュジエは、建築を、床とそれを支える柱という「ドミノ」に集約し、
直方体を基本とする現代建築の基本構造を確立した、いわば現代建築の始祖であり、
同時にその直方体を、さらに独自の概念と美意識で展開させて極みに到達させた。
それが、彼を19世紀初めの建築界の核とし、頂点とした所以でもあることを、
本書は彼の作品を年代別に紹介しながら丁寧に説明している――若干乱暴な端折り方で
申し訳ない。
専門的な説明にも手を抜いていないので、コルビュジエ入門書としてはちょうどいい
のではないかと思う。
ガウディは、その独創性で類を見ない天才であることは間違いない。だが、
彼の建築を模倣する事は誰にも出来ない。対してコルビジュエは、建築に、汎用性と
コストダウン、施工の迅速化を成した点から、建築史への貢献は計り知れない。
だからこそ、彼はまず同業者に高く評価され、追従者と多くの模倣を生み出し、
それを喜びさえしたのだろう。そういうことを考えながら、本書を読み進んだ。
サヴォア邸、救世軍本部、ロンシャン教会堂については写真集でさらに詳しく
見てみたい。そしてできれば実際に行ってみたい。「空間」を強く意識した彼の作品は、
見るだけではなく、彼が生み出したその「空間」の中にたってこそ初めて実感できると
言うのが、本書の一貫した姿勢でもあるからだ。