ルリユールというのは、本の装丁や製本のすべての工程をおこなえる職人のことで、
フランスならでは職業だそうだ。その巧みな技に魅せられた作者が
パリにアパートを借りて職人の工房へ通い続け、描いたのが本作ということだ。
パリの街を舞台に、見開きの半分に女の子、もう半分に老人の行動を描くという構成。
女の子は装丁がくずれた古い植物図鑑を直してくれる者を探して、街を歩き回る。
やがて彼女が運命的に出会うのが、代々ルリユール業を営む老人というわけである。
ところで、パリという街は、素人が絵にしたり写真を撮ったりしても、
それなりにシャレた雰囲気になってしまうものだ。ともすれば(ボクも含めて)
自分にセンスがあるのではと勘違いしてしまいがちである。
では、プロと素人の違いは何か? その答えはこの絵本をみればわかる。
いせさんが描いたパリは、あきらかにある一線を越えている。
ページを開いた瞬間、部屋があの街の空気で満たされるといっても言い過ぎではない。
淡い色彩でさらっと描いた水彩画。女の子の服に使われている「青」が特に印象的だ。
いせさんの画集としても味わえる大人向けの絵本。